イギリス

イギリスの医療制度の概要

イギリスの医療制度の特徴は、地方分権制を取っている所にあります。
このためイングランドと北アイルランド、スコットランド、ウェールズに分かれてそれぞれ独立した医療システムを持っています。
医療費の財源に関しては、公的な部分と民間財源の両方によって賄われています。

公的な医療機関で治療を受ける際、イギリス国籍を持っている人には、必要に応じて医療サービスを自己負担なしで提供します。
医療費の税源は国家歳入によって維持されます。
ただし歯科と処方薬に関しては、それぞれで負担をする必要があります。

民間医療機関で受診をする場合には、民間医療保険の加入者が対象となって公的医療と同等レベルの治療が受けられます。
民間医療保険の保険料は雇用主もしくは加入者が負担しないといけません。

プライマリヘルスケアの徹底

公的医療制度の特徴として、機能分担の徹底が挙げられます。
総合診療医を市民は登録しないといけません。
総合診療医の許可なしで、上位医療サービスが受けられないシステムとなっています。

ちなみに二次医療は病院が行っていて、より専門的な医療や救命救急などを担当します。
三次医療は大学病院が担っていて、このように段階的に医療サービスの受けられる仕組みになっているわけです。

総合診療医に対する診療報酬は、2004年の制度改定により基本サービスと追加サービス、高度サービスとに分けられて算出されるシステムとなりました。
基本サービスは人頭払いで、それ以外は任意の出来高払いの提供となりました。

今後のイギリスの医療費の課題

保守党政権の中で、イギリスでは公的医療費の削減が進められました。
その結果病院では慢性的な人手不足の状態になって、病院が患者で混雑する光景がどこでも見られるようになりました。
診断を受けるまでに数週間もかかってしまうのは普通の状況となっています。

診断を受けてから治療に移るわけですから、さらに治療までには時間がかかってしまいます。
1ヶ月に1回くらいのペースでしか、治療が受けられないケースも普通にあるような状況にあります。

しかしその後長期待機リスト問題の改善が進み、総合診療医の受診は2日以内、救急医療も4時間以内の受診が可能になりました。
その他にも待機期間が一定以上になった場合には、公費診療扱いのまま民間医療機関で受診が行えるように改正されています。
しかしそれでもまだ課題はたくさんあります。

イギリスではこのような国内の医療システムの問題で、海外で医療サービスを受ける患者も増加しています。
フランスなどでは2002年ごろから腰やひざ、白内障の手術を受けにイギリスからやってくる人が見られるようになっています。