モンゴル

急速な市場経済化による社会保障制度の誕生

モンゴルはアジア大陸中央の北部に位置する国です。

地理的にロシアに近いということもあり、歴史的に長く社会主義国としての歴史を歩んできました。

かつてはソ連に続いて世界に二番目の社会主義国として樹立をされたのですが、ソ連の崩壊とともに社会主義政権が崩れ、現在では市場経済へと移行をしてきています。

社会保障制度も1990年代からはそのため大きく様変わりをしており、医療保険、年金保険、一時支給、労災保険、失業保険の5つが既に基金として作られており諸外国同様掛け金を集めて補償を行うという体制が作られてきています。

社会主義制度をとっていたときは基本的に私有財産は認められておらず、社会保障についてはバウチャー券の発行などによって行われていたのですが、それが個々人の財産から一定の金額を集めてその中で運用をするという大きな転換をすることになったというわけです。

モンゴルの医療制度は3段階制

ソ連の支援を受けて医療部門が完全に国家予算の範囲内のもとで行われていた頃と異なり、現在ではできるだけ少ない医療費のもとで高い医療を実現することが目的とされるようになりました。

そのためのしくみとして行われているのが医療施設の3段階制で、第一次~第三次医療として地域に密着した医療施設が作られています。

第一次段階とは家庭医や一般的な専門医療機関のことで、体調に何らかの不調を感じた時に最初に受診をする場所です。

そこからその病状の重さに従い、地区病院となる第二段階医療、高度専門家医療を行う第三段階医療といったふうに担当を異ならせていきます。

もっとも力を入れているのが第一段階医療で、現在も一般家庭用のホームドクター施設や薬局施設が急増しているところです。

これは予防医学的にも大変効果的なもので一般の国民の健康維持に大きな役割を担っているものの、一方でまりにも第一段階のみに力が入れられることにより高度医療を行う第三段階への支援が少なくなり、本当に重病になってしまった人は国内の病院ではなく海外に治療を受けにいかなくてはならないという状況を創りだしてしまっています。

健康保険への加入状況

1990年代から始まった社会制度の変革により、健康保険制度は国民全てが強制的に加入されるものからその家庭や本人の状況に応じて使い分けられるものへと変更になりました。

現在モンゴルにおける健康保険制度は強制加入グループと任意加入グループとに分けられており、社会的弱者となる高齢者や子供、障害者などは自身で保険料を支払わなくとも国庫により保険料が負担されることとなっています。

制度が始まった1994年時点ではこの政府負担のグループに学生や牧民も含まれていたのですが、現在ではそれらは外され任意加入により自己負担で加入をすることとなっています。

強制加入となるのは政府関連の機関で働く公務員や大企業の会社員で、給料の6%分を一律に会社と本人が折半して支払いをするようになっています。

健康保険に加入をしていれば診療を含む医療機関の受診にかかる費用のうち、自己負担分を低い割合でおさえることができるようになっています。

自己負担分の割合は導入当初は一律10%でしたが、のちに時代の変化により変更され第一段階医療は5%、第二段階は10%、第三段階は15%となっています。