ロシア

社会主義的制度の名残が感じられる

ロシアはかつて世界最大の社会主義国として、全て国立により病院や診療機関が作られてきました。

ソ連崩壊により1990年代より急速に制度の改革が進められていくことになりましたが、現在でも完全に制度が移行したわけではなく、施設のあちこちにかつての制度の名残が感じられます。

ソ連時代にあった公立病院が引き続き運営されている一方で、完全に民間企業による市立病院もモスクワなどの中心部に作られており、そこでは欧米諸国にも引けをとらないような最新機器を用いた設備が置かれています。

公立病院もそうした市立病院に牽引される形で設備の改善や内部制度の改善がされてきてはいるものの、利用のときの書類手続きが煩雑であったり、勤務する職員がロシア語しか話すことができなかったりということもあり、滞在中の外国人が利用することはまずほとんどありません。

市立病院は公立病院よりも診療費は高くなりますがその分サービスは大変充実しており、内部に通訳スタッフがいたり医療保険をすぐに私費診療にあてることができたりと使い勝手のよいものになっています。

ロシアにおける医療政策

ロシア国内における医療政策を行っているのは「保健・社会発展省」という役所機関です。

こちらは日本における厚生労働省に近いところですが、業務で取り扱う範囲が大変に広く保健や公衆衛生分野だけでなく、年金や労働、社会発展などを総合的に管轄しています。

そのため現在ロシア国内で運営されている公立病院は全てこの保健・社会発展省のによって管轄を受けることとなっており、国家予算から補助金を受けています。

現在のロシアの公立病院の運営費は国民から集められる「強制医療保険基金」から給付をされることとなっており、保険料は雇用者から強制的に徴収されるものとなっています。

ソ連時代には完全に医療費は国民負担無料で行われてきたこともあり、現在も原則的には医療費は無料という建前になっていますが、実際のところ財源が大きく不足しており、実際にかかる公立の医療機関の支払い請求額のうち国庫から補償できているのはわずかに4割くらいと言われます。

足りない分は診療機関のある自治体の一般財源によってカバーをされているものの、それでも全てを埋めることはできておらず実質的には患者から保険料を徴収することになっています。

そうした財源不足はますます国立・公立の病院における医療レベルの低下を招くことになっており、完全に患者側が医療費を負担する市立病院との差を広げる結果にもなっています。

高所得者僧が利用するのは民間医療機関

このような社会状況より、実際にロシアに暮らす人のうち高所得者層に属する人はまず公立の医療機関を受診することはありません。

また外国人や経営者なども怪我や病気になって最初に利用するのは民間の病院です。

建前では国立や公立の病院は診療費無償といいながら足りない財源を患者に違法に請求する状況が続いていることから、医療スタッフのモラルの低下も指摘されています。